投扇興の歴史

-華やかで雅な遊び-

投扇興は、今から約250年前の江戸時代中期に関西の京都や大阪で遊ばれた華やかな室内ゲームです。文字どおり「扇を投げて興じる」遊びです。
二人で向き合って壺に弓矢を投げ入れた、中国・唐の時代の古い遊び「投壺」が起源であるといわれています。

その昔、京都に投楽散人という粋人がおり、あるとき昼寝から目覚めると、傍らに枕が転がり、その上に蝶がとまっていた。そこで傍らにある扇を手にとって投げると、蝶はひらひらと飛び去り、扇はふわりと枕の上に乗ったという。「これは面白い!」と投壺を連想し、日本独自の遊戯を考案したと伝えられています。
江戸時代の半ば、当初は京や大阪で優雅に楽しまれていた遊戯が、やがて江戸に伝わると、庶民のあいだにも広まり、安永年間に入ると、大流行りの大衆娯楽となりました。
投扇興の面白さは、すぐにゲームの結果が出ないことです。扇子と的(胡蝶)の落ち方、その絡み方によって、「富士」「雲隠」など24種の得点名が「百人一首」(日本古来の詩集)にちなんで付けられ、有名な詩人の詩が読み上げられます。